想像してみてください。
あなたの大切な部下が社長の前で新事業のプレゼンを行うことになったとします。
でも、彼はプレッシャーを感じやすいタイプ。
プレゼンの本番直前、あなたは彼が会議室の前で緊張に震えているのに気づきます。
彼に成功してほしいと思うあなた。
もし、こんな状況で、あなたなら彼に一体なんといって声をかけますか?
「今日は大事なプレゼンだな!頑張れよ!」
「大丈夫、お前ならできるさ」
人によっては、これでは逆に緊張してしまいます。
やる気をなくしてしまう人もいるかもしれません。
では、どうやって声をかけたらいいのでしょうか?
私自身、今まで友人に悩みを相談されたときなんかは、アドバイスしようとしても、なんだかいつも相手に伝わっていない気がしてモヤモヤしていました。
でも実は、相手を励ますには具体的に技術があったのです。
そう。私たちは、その技術を教わってないだけ。
今回は、アメリカでは日常的に使われるペップトークという技術をご紹介します。
一番面白かったのが、こちらの本。
どうやら、アメトークの読書芸人で紹介され話題になったみたいです。
ペップトークとは?
ペップとは「元気・活気」と言う意味で、スポーツなどの試合前のロッカールームで、監督が緊張する選手たちに100%の力を出し切ってもらうためにする言葉がけのこと。
この本では、例としてアメフトの「ライスボウル」という日本一を決める試合前に立命館大学の監督が行ったペップトーク紹介されています。
相手は社会人チームの松下電工。
緊張する選手に、監督はたった45秒のペップトークを行いました。
そして、この後選手たちは奮起し、ビッグプレーを連発します。
この動画からも分かるように、ペップトークには前提として5つのルールがあります。
ペップトークの基本ルール
- ポジティブな言葉を使う
- 短い言葉を使う
- わかりやすい言葉を使う
- 相手が一番言ってほしい言葉を使う
- 相手の心に火をつける本気の関わり
特に印象的だったのは、1つ目のポジティブな言葉を使うこと。
私たちは応援の意味も込めて、
「本番ではミスしないでね!」
「サーブを外すなよ!」
と、ネガティブなことを言いがちです。
私たちの脳は否定文を区別できません。
「赤いきつねを想像するな!」
と言われても、すでに想像してしまうのと同じで、
ネガティブなことを言われると、脳はどうしても「本番でミスをする自分」「サーブを外す自分」を想像してしまうのです。
ペップトークの4つのステップ
では、具体的にどんなふうな声がけをしたら良いのでしょう?
例えば、最初に考えた新事業のプレゼン前で緊張する部下の例をもう一度考えてみましょう。
部下は会議室の前で、緊張し震え、青ざめています。
今まで彼と一緒に考え、アドバイスしてきたあなた。
この状況で言うペップトークの例としてはこんな感じ。
「今日はいよいよプレゼンだね。緊張しているのか?そりゃそうだよ。俺も社長にプレゼンする時はいっつもガチガチになるからよく分かる。(1.受容)
でもそれって、この新事業を絶対成功させたいって思って、めちゃくちゃ頑張って準備してきたからだよね。(2.承認)
だったら想像してみて。リーダーになって新事業を進めている姿を。社長も仲間もお客様も喜んでいる姿を。とってもワクワクするよね。だったらそのワクワク感と君の思いを社長に伝えてくればいい。(3.行動)
終わったら祝杯をあげよう!さぁ、行ってこい!(4.激励)」
これは、4つのステップにそって作られています。
4つのステップ
- 受容(事実の受け入れ)
- 承認(とらえ方変換)
- 行動(してほしい変換)
- 激励(背中のひと押し)
1と3と4は、さっきの文章を見るとなんとなく分かるかな〜と思います。
1は事実を述べて「俺もよく分かる」と共感し、相手の心のドアを開けること。
3はポジティブになれるように、相手にしてほしいことを明確に伝えること。
そして、4は最後に短い言葉で相手の背中を押すイメージです。
難しいのが2。
これは、ざっくりいうと相手のものの見方を変えることです。
もののとらえ方を変える方法
ここではつまり、できないことやマイナスな部分があるとはいえ、「ここはできているよね」「プラスで考えるとこうだよね」と伝え、相手の承認欲求を満たします。
方法としては2つ。
- 逆転の発想
- あるものに目を向ける
例えば、さっきの部下の例では、「逆転の発想」が使われていました。
- 「緊張している」⇨「本気の証拠」
とネガティブからポジティブに持っていったわけです。
同じように、こんな悩みもポジティブに変換できます。
- 「仕事で大きなミスをした!」⇨「成長のチャンス」
- 「時間がない!」⇨「シンプル化するチャンス」
また、「あるものに目を向ける」というのは、例としてコンクール前の合唱部が挙げられています。
本番前に練習不足かもしれないと不安がるみんなに対し、
「練習不足」⇨「経験、チームワーク、明るい雰囲気、応援者がある!」
と変換し、以下のように言うことができるのです。
「練習をもっとやり込めたらよかったという気持ちも分かる。
でもね、私たちには大舞台の経験、阿吽の呼吸のチームワーク、そしていつも応援してくれる友達、親、先生がいるよね」
まとめ
ここでは本当にざっくりとした説明しかしてませんが、それは実際に本を読んでいただきたいからです。
具体例もたくさん紹介されているので、非常に分かりやすい内容になっています。
また、ペップトークの相手の状態や性格なんかでも声のかけ方は大きく変わるので、その方法を知るためにも、一度ぜひ読んでみてください!
ちなみにこの本の他にも、日本にペップトークを広めた方の青い本もあります。
が、ちょっと教科書っぽいので、最初の導入としてはオレンジ色の本がおすすめです・・・。