火が通っているのに肉や肉汁が赤いのはなぜ?低温調理のための料理の科学

だいぶ遅くなりましたが本年もよろしくお願いします。

今年の目標は「分かりやすくて質の高い記事を書く!」ってことで、

早速ですが、以前書いたお肉が赤い理由を再度分かりやすくまとめます♪

低温調理でお肉を加熱すると、決まった時間調理したはずなのにピンク色なることってありますよね。

レストランなんかでも赤いレアステーキとかハンバーグとかが出てきます。

また、こんなふうにお肉から赤い汁が出ることも。

(56℃で100時間調理した豚肩ロースのかたまり)

「しっかり加熱したはずなのになんで?」

「これって血?大丈夫かな?」と不安になる方も多いと思います。

ですが、そもそもお肉は屠畜された時点でしっかり血抜きされているので、スーパーで買った肉に血は残っていません。

じゃあ、一体何なのか?

実はこれは血ではなく、「ミオグロビン」というタンパク質のせいなんです。

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お肉の赤色とミオグロビンの関係

「ミオグロビン」とは、筋肉組織に酸素を運ぶ役割をするタンパク質の一種です。

血液中で酸素を体中にめぐらせたり、筋肉組織の端まで行きわたらせたりしてくれてます。

元々は紫色で、酸素と結びつくと赤色(オキシミオグロビン)になるんですが、

動脈が赤くて静脈だと青い理由もこれですね。

筋肉組織だと、走ったり体を支えたりだとかでよく酸素を使う部位に特に多くいます。

(もも肉だとか肩肉とか)

部位や肉の種類によってお肉の色が濃い赤だったりピンクだったりするのもミオグロビンの量によります。

ちなみにお肉ごとミオグロビンの量は以下の通り。

  • 鶏むね肉:約0.05mg/g
  • 鶏もも肉:約2mg/g
  • 豚肉:1~3mg/g
  • 牛肉:約10mg/g

出典:『Cooking for Geeks』

(他にもお肉の色はpHレベル、保存条件などによっても変化します。)

ミオグロビンは約60℃から変性し始め、グレー色になります。

レストランなんかでは外側はグレーで中心が鮮やかな赤色のレアステーキが出てきますが、中心温度が60℃以下で調理されているということですね。

つまり、56℃以上60℃以下で長時間低温調理したお肉だと冒頭の写真のようにほんのりピンク色になったり、肉汁が赤くなるわけです。

きちんと温度管理を心がけよう

ただし、気をつけるに越したことはありません。

お肉が赤くても食べてもいいのは、レストランのように衛生面がしっかりした環境できちんと温度管理されたものだけ。

おいしいお肉を家で食べたいからといって安易に低温調理をして食中毒とか本当シャレになりません。

個人的には低温調理がもっと広まればいいとは思いますが、

まだあまり食中毒対策や調理時間・温度などを学んでない方は60℃以下の低温調理は避けた方がいいかと思います。(55℃以下は危険ゾーン)

最初のうちはお肉が赤くなくなるまでしっかり火を通すようにしましょう。

もちろんお年寄りの方、子ども・妊婦の方、また体調のすぐれないときは低温調理した料理は絶対に避けましょう。

参考文献

参考にした本はこちら。

名著『Cooking for Geeks』と『フランス式おいしい肉の教科書』です。

こちらは図や写真が多く、肉料理の「なぜ?」が分かりやすくまとめられてました。

本屋さんにけっこうな確率で並んでるんで、是非チェックしてみてください。

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