さつまいもは低温調理で美味しくなるのか?という実験をしてみた

さつまいもの時期ですね。

スーパーの入口でいつも焼きいもの香りにやられるのですが、

最近では炊飯器だとかトースターで家で簡単に焼きいもを作る方が増えてきました。

個人的にはサツマイモをアルミホイルで包んでトースターで1時間焼くだけという方法で、ねっとりほくほくとした焼きいもを毎年作っています。

が、「さつまいもは温度管理によって甘くなる!」という話を聞いたので、

もしかすると低温調理器を使えば簡単にもっと美味しいさつまいもができるのでは…?!

と思い実験してみました。

結果から言ってしまうと、

  • 今のところ低温調理のさつまいもは焼きいもには勝てない!・・・が低温調理と組み合わせると美味しくなるかも?
  • コツは3つ!
    • 70℃の温度帯をゆっくり通過すること
    • 80℃以上である食感をやわらかくすること
    • ある程度水分を飛ばし甘みを凝縮させること

ということが分かりました。

かなり試行錯誤しましたが、大人の自由研究みたいでちょっと面白かったです。

その過程をメモしておくので、是非自分で研究する方は役立ててください(笑)

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さつまいもが甘くなる温度帯とは?

一般的に、さつまいもを甘くするには70℃の温度帯をゆっくり通過することが必須条件だと言われています。

というのも、これがでんぷんの糊化とβアミラーゼの活性する温度だからです。

  • 65~75℃:でんぷんが糊化する
  • 70℃前後:βアミラーゼという消化酵素が糊化したでんぷんに作用して麦芽糖(マルトース)を生成する

じゃあ、70℃で放置したら美味しくなるんじゃない?と思われるかもしれません。

ですが、βアミラーゼは時間とともに失活する上に、でんぷんが糖に変わるわけなんで量には限りがあります。

また、50~80℃でペクチンは硬化するので、放置するほどさつまいもが固くなってしまうというのも問題です。(実際、60℃で12時間低温調理→トースターで1時間しましたが、まあまあ甘いけどカチカチ!という事態に)

  • 50~80℃:ペクチンが硬化
  • 80℃以上:ペクチンが軟化

これらのことから、70℃付近をゆっくり通過することでさつまいもを甘くして、最後に80~90℃以上でやわらかくするとベストなのでは?と予想。

低温調理のさつまいもVSトースターの焼きいも

ってことで、検証実験です。

宮崎紅というほくほく系品種のさつまいもを大量買い。

なるべく個体差が出ないようそれぞれ3本ずつ実験しました。

温度帯と調理時間は以下のとおり。

  1. 低温調理器70℃90min→鍋に入れて約90℃でやわらかくなるまで40min
  2. 低温調理器80℃90min→鍋に入れて約90℃でやわらかくなるまで20min
  3. 低温調理器80℃2H
  4. 低温調理器85℃2H
  5. トースターで1H

どのように実験したかというと、低温調理にかける際はさつまいもと水をジップロックに入れ、鍋でゆでる際は鍋にさつまいもがかぶるくらいの水をはって火にかけます。

トースターで焼く際は、一本ずつ濡らしたキッチンペーパーで包み、その上からアルミホイルを巻いて1200Wで焼きました。

そして、それぞれ味と食感を比較します。

結果どうなったかというと・・・

トースターで作った焼き芋には全く勝てませんでした。

例えば、この写真。

左2個がトースターで焼いた実験5のもので、右2個が実験1の低温調理器で70℃90minの後、鍋で調理したもの。

見て分かるかと思いますが、実験1の芋はペットの餌かと思うくらいに甘味がなく、なんだか固い食感に。

実験2~4の芋はどれもまあまあ甘みは感じられるのですが、凝縮した甘みといった感じではなく、味が薄~い感じが。

食べられるけどたくさん食べるのはちょっとつらい・・・という事態に。

なぜだ・・・!

低温調理では美味しい芋を作れないのか・・・?!

半ばがっかりしながらも調べていくうちに、

焼きいもが美味しいのはある程度水分が飛んで甘みが凝縮するからという事実も分かってきました。

水分を飛ばす?!そんなの低温調理では不可能ですよね。

(塩を大量に入れるという手もありますがしょっぱくなっちゃいます)

ここでかなり絶望しましたが、あきらめません。

方針を変更し、今度は、低温調理とトースターを組み合わせることでより美味しい焼きいもを作れないか実験をしてみました。

低温調理+トースターVSトースターのみの焼きいも

温度帯と時間は以下のとおり。

  1. 低温調理器70℃90分→トースターで45分
  2. 低温調理器80℃90分→トースターで15分
  3. トースターで1時間

先ほどと同じように、宮崎紅を3本ずつ使用し、低温調理後竹串がスッと入るまでトースターで焼いて味を比較しました。

結果の写真はこちら。

左から、実験2・1・3という順番に並んでいます。

写真ではちょっと分かりづらいですが、

やはり実験3のトースターだけで焼いたいもに軍配があがりました。

ねっとりほくほくとちょうどよい水分量で、甘味も凝縮。

たぶん芋が太かったんであと15分ほど焼いた方がきれいに蜜が出てきたかもしれませんが…。

一方で、実験1と2の芋はやはり少し水分が多く、べちゃべちゃっとして味が薄いような感じがしました。

が、意外なことに冷やしてみるとどれも違った美味しさが。

見た目は黄金でなくなっていたのですが、どれも甘味が強くなっていました。

実験1はまあまあって感じでしたが、実験2の芋はしっとりとしてかなり甘みの強い芋に。

実験3の芋はクリーミーでさっぱりとした甘さになっていました。

『サツマイモの栄養機能成分と焼き芋の美味しい焼き方理論』によると、

焼きいもの糖量は麦芽糖15.4%,ショ糖4.5%,果糖0.6%,ブドウ糖0%。

温度によって甘味が増すのは果糖だけなんで、さつまいもは冷やしても甘みが増すんだろうか?って感じなんですが・・・。

低温調理した芋にほんの少し勝機があったというのは、面白い結果でした。

正直、今回はたまたまだったかもしれませんが、

低温調理の時間を調節したり焼き方を変えたら、また変わるかもしれませんね。

さつまいも食べ過ぎたんでしばらくお休みしますが、また気が向いたら自由研究してみようかと思います♪

参考にした論文など

サツマイモの栄養機能成分と焼き芋の美味しい焼き方理論

サツマイモを蒸した際のマルトース生成に及ぼす塊根のβ-アミラーゼ活性およびデンプン糊化温度の影響

甘藷の加熱調理に関する研究 生成糖とβ-アミラーゼ活性

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