ここ数年じわじわ流行りつつある、低温調理器をご存知でしょうか?
サラダチキンを作るのに、ここしばらく愛用し始めたんですが、これがかなり便利!
なので、今回はその良さとお肉を美味しくする温度についてご紹介します。
目次
低温調理器はしっとりジューシーなお肉が作れるスグレモノ
まずは、低温調理器とはなんぞや?というところですが、
一定の温度を保ち、好きな温度で調理ができる!というものです。
まぁ簡単にいうと、温度設定のついた保温してくれる機械、ですね。(こんなの↓)
焼く・蒸す・茹でるの調理だと高温になり、お肉がパサパサになりがちですが、これだと温度設定ができるので、しっとりジューシーなお肉に仕上がります。
また、高温で熱すると焦げたりしますよね。あれは、AGEs(最終糖化産物)と呼ばれ、体の炎症を引き起こし、癌など様々な病気の原因にもなります。でも温度調節することで、AGEsをなるべく取らないようにもできるわけです。
では、ここで『Cooking for Geeks』という本から、お肉と温度について詳しくご紹介します。
実は、お肉がパサつく原因は水分が失われたからではない!
お肉に熱を加えると、タンパク質は変化します。そして、変性するとゆるんでほどけてきます。
でも、別のタンパク質に触れると、新たに結びつくことも(凝固)。
そうやって、いくつも結びつくと、タンパク質は複雑に絡み合い、噛みきれないほど硬いお肉になるのです。
よく、パイナップルはお肉を柔らかくするよ〜と聞きますが、これは結合組織を分解してくれるから。他にも、ステーキに切れ込みを入れたりしますが、これも筋繊維を切ることで柔らかくしているんですね。
お肉が最高の食感になるのは60〜70℃
では、タンパク質の変性温度とは?
お肉にはタンパク質には、ミオシンとアクチンという2種類のタンパク質があるのですが、それぞれ変性温度が異なります。
- ミオシン:50〜60℃
- アクチン:66〜73℃
本によると、実験からミオシンは変性するがアクチンは変性しない温度60〜70℃を保つと最高の食感になったそう。
でも、ミオシンが変性してアクチンが変性しない温度なら、55〜66℃の方がいいんじゃないのかな?
と思われるかもしれませんが、これは、おそらくバクテリアなどの食中毒を懸念して設定された温度です。
低温調理は食中毒のリスクがある?
食中毒を引き起こすバクテリアについては以下のように書かれてあります。
食中毒を引き起こす犯人の大部分は4℃を超える温度で増殖し、種によっては55℃まで活動を続ける。
例に挙げられているのは、卵に多いサルモネラ菌や、鶏・豚・牛肉に多いセレウス菌、魚に多いリステリア菌など。これらはそれぞれ、次の温度で長時間加熱されれば死滅します。
- サルモネラ菌:47℃
- セレウス菌:55℃
- リステリア菌:45℃
他にもカンピロバクターやボツリヌス菌など様々な菌がありますが、一応55℃がラインのようです。
ただ、この温度で瞬間的に死滅するわけではありません。
目安としては、厚生労働省の加熱食肉製品の基準だと
中心温度が63℃で30分以上加熱する必要があると書いてあります。
食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)−抄−:第1 食品:B 食品一般の製造,加工及び調理基準:第9項
心配な方は、これを基準に調理してください!
もう少しリスクをとってでも低温調理のお肉を食べたいという方でも
55℃以上の加熱が必要です。(53℃以下での調理は完全にアウトです!)
個人的には、鶏肉は
- 時間のないときは、59℃で1.5〜2時間
- 時間のあるときは、56℃で9〜12時間以上
と、かなり長めに調理をして、食中毒のリスクを減らしています。
(豚肉はもう気持ち長めに調理してます)
56℃であれば、2〜6時間長く調理してもお肉が硬くなることがなく、好きなタイミングでお湯から出して食べれるので便利ですよ!
というのも、調理後いったん冷やして、また温めて食べるというのも、菌が増えやすい30〜53℃の温度帯を行ったり来たりするわけで、リスクが高まるのです。
なんにせよ、どれだけ長時間加熱しても、
バクテリアの数は減らせますが、全くゼロになるという保証はありません。
低温調理にはリスクがともなうことをふまえた上で、自己責任での調理をお願いします!
〜まとめ〜
長々と書きましたが、参考になりましたでしょうか?
低温調理ってかなりややこしいんですね〜。
バクテリアによって死滅する温度が違ったり、人によって(特に妊婦さん)リスクが高かったり・・・調べるほど、生レバーとか豚刺しとかが恐ろしくなりました。
まぁ、厚生労働省のガイドラインの通り、
63℃で30分以上加熱というのが一番安全でしょう。
ただ、どうやら低温調理器によっても能力が違うようで、物によっては設定温度より5℃もお湯の温度が低いこともあるそう。
水をかき混ぜる力が弱くて、お肉の場所によって加熱が不十分になることも。
我が家では、本家Anovaさんのを使用していますが、低温調理器によっても注意が要りそうです。
また次回、低温調理器の比較や、お魚の調理温度についてもご紹介していきたいと思います!