豚肉は「超!長時間低温調理」でどのように食感が変わるか?実際に作ってみた

『Modernist Cuisine』を読んでから、豚肉の「超!長時間低温調理」にはまったツマです。

以前部位ごとの調理温度と時間をまとめましたが、

『Modernist Cuisine』には、同じ部位の肉でも固い部位の肉は「やわらかくしなやか」「やわらかくほぐれる」など食感別に調理時間と温度が書かれていました。

なんでかっていうと、お肉の食感には3つのタンパク質、ミオシン・アクチン・コラーゲンが関係するのですが、中でも固い部位のお肉はコラーゲンが大きく関係するから。

でも、コラーゲンが加水分解するまで「超!長時間低温調理」をしたお肉とそうでないお肉は実際どのように食感が違うんだろう?って思いました。

ってことで、今回は食感や見た目がどう変わるのか?

どの状態がベストなのか?

実際に、豚肩ロースのかたまり肉を調理し比較してみました。

スポンサーリンク

料理実験の内容

まずは豚肩ロースのかたまり肉450~500gを3つ用意。

(ちょっと長細い形。脂身の入り方や形や重さは少し異なります)

ニコニコでメンタル料理講座をされているつっしーさんのレシピを参考に

オリーブオイル、塩、ローリエでシンプルに味付けし、低温調理します。

ここからはタンパク質の話を読んでもらわないとちょっとややこしいですが

理論的に考えると、美味しい食感になるのは3つの場合が考えられます。

  1. 56~60℃で最低限の調理をし、ミオシンだけが変性したもの
  2. 65℃以上で全てが変性し、コラーゲンが加水分解したもの
  3. 56~60℃でミオシンが変性し、コラーゲンも加水分解するまでじっくり調理したもの

それに合わせて調理温度と時間を設定します。

温度と時間 ミオシン アクチン コラーゲン
① 56℃ 9時間 × ×
② 65℃ 36時間 加水分解
③ 56℃ 96時間 × 加水分解

①は食中毒にならない最低限必要なんじゃないかな~と考える調理時間です。

②は『Modernist Cuisine』で2.5cmの角切りの場合「やわらかくほぐれる」食感になるとされる調理時間と温度です。

③はコラーゲンが加水分解するためにこれでもかーってくらい調理してやりました。

ちなみに「96時間」って、4日間ということです(笑)

さて、これでどんなお肉に仕上がったでしょう…?

料理実験の結果

まずは、①のお肉(56℃ for 9時間)

やわらかさ  ★★★★

ジューシーさ ★★★★★

ほろほろさ  ★

色鮮やかなうっすらピンク。噛みごたえがあってジューシーな食感で、これぞ肉!という感じでした。コラーゲンがそれほど変性してないのでゴムのように噛み切れない状態にはなってませんが、脂身はちょいと固めなのでフライパンで軽く焼いた方が美味しいかな~といった感じ。

つづいて、②の肉(65℃ for 36時間)

やわらかさ  ★★★

ジューシーさ ★★★

ほろほろさ  ★★★★★

脂身はプルプルで甘くておいしい!

赤身の部分は長時間コトコト煮込んだお肉と似ていて、ほろほろとさわっただけでくずれていきます。なので、切るのが困難。一度繊維が固くなったもののバラバラ分断されてやわらかくなった感じです。欧米好みの食感かなと思ったり…。

水分はちょっと繊維から押し出された感じがするので、調理後、袋から出さずお肉をちょこっと休ませるとジューシーになりそう。

最後に、③の肉(56℃ for 96時間)

やわらかさ  ★★★★★

ジューシーさ ★★★★★

ほろほろさ  ★★★★

興奮してしまうほどのおいしさ。4日間調理したのに、色はこちらもうっすらピンク。水分を保持したまま、ほろほろとくずれるので、脂身も赤身も口の中で溶けていきます。②は脂身と赤身がバラバラにくずれちゃいましたが、これはやわらかいくせに切ってもくずれませんでした。

まとめ

理論通り?というか予想される食感と同じだったんでちょっとびっくりでした。

②はアクチンが変性してしまうから肉の繊維が固いような感じがしたんでしょうね。

正直食感は好みなんで、実際にそれぞれ作ってみて見つけるのがいいんじゃないかと思います。

個人的には、手軽に作りたいときは9時間で完成する①。汁っぽい料理には②。

脂身が多かったり肉の間に脂がある肩ロースは③のように56℃で長時間調理するのがベストかな~と思います。

ただ、①は豚肉の厚みによって食中毒のリスクがあるかもしれません。

作る場合は2.5㎝ほどの細かい角切りにして調理してください。

また、③は必要以上に調理しているかもしれません。

56℃で96時間からどれぐらい短くしても美味しいままか、まだ探っているところです。

もしかすると、『Modernist Cuisine』にあった60℃72時間もこれに近い食感かもしれません。

またご報告しますが、ベストな調理時間を見つけた方は是非教えてください~!

スポンサーリンク
広告レクタングル大

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
広告レクタングル大