「調理する直前に塩をする!」だとか「オイルと一緒に塩をする」など、レシピによってはいろいろな塩のやり方が書かれています。
でも実は、それらは科学的に見ると間違いだったってことが分かってます。
また、なんとな~く「塩はすぐに浸透する」と思っている方も多いのではないかと思いますが、それも間違い。
実際は、塩がお肉に浸透する以前に、塩が溶けるのにかかる時間が5~10分。
また、浸透するにはお肉1cmの厚みにつき5~15時間かかると言われています。
そこで今回は、ありがちな間違いも含め「最も効果的な塩のタイミング」と「お肉に塩が浸透するまでに必要な時間」についてご紹介します。
塩は加熱する2日前~1時間前にふっておくべし!
結論からいうと、「最も効果的な塩のタイミング」は以下のとおり。
- 最長で加熱の2日前~最短で1時間前
- 油とは同時に塩を入れない!
2日前?!そんな前から?って思うかもしれません。
が、『フランス式おいしい肉の教科書』によると塩の浸透時間はこのようになっています。
塩がたった1㎝浸透するのにかかる時間
5時間 10時間 15時間
- 若鶏のもも肉
- 豚の骨付きあばら肉
- 仔羊の骨付き背肉
- 牛のあばら肉
- リブロース
- 牛のロースト
- 羊のもも肉
出典:『フランス式おいしい肉の教科書』p.113
部位によっても塩が浸透する速度が異なることが分かりますね。
でも、たった1㎝浸透するために少なくとも5時間かかるということは、厚み3㎝のお肉なら中心まで1.5cmなので最低でも7.5時間かかるという計算になります。
また、塩は水には溶けますが油には溶けません。
「加熱する直前に肉に塩をするのはあまり意味がないよー」と言っていた理由もこれ。
というのも、そもそも塩がお肉に浸透する以前に、塩が溶けるまでに5分~10分かかります。そんなお肉を油をしいたフライパンなんかで焼くと、多くの塩がフライパンに落ちてしまう。
そうなるともう、油にくるまれてお肉に浸透しづらくなる…というわけです。
低温調理をする方は塩と一緒にオリーブオイルを入れる方が多いと思いますが、これと同じで同時に入れてしまうと塩が油に包まれお肉に浸透しづらくなります。
なので、塩をある程度お肉に浸透させてからオリーブオイルを入れた方が美味しいお肉に仕上がります。
例えば、鶏むね肉を低温調理する場合なんかは
- 鶏むね肉に塩をした状態で冷蔵庫に1~2日間置いておく
- そしてオリーブオイルを入れて真空調理する
というのが、「最も効果的な塩のタイミング」と言えます。
高級肉は食べる直前に塩をするべし!
でも、これには例外が。
以前、お肉料理で最も「おいしい」と感じる塩分濃度とは?という記事で書いた通り、高級な肉なんかは食べる直前に塩をする方が良いことが分かっています。
というのも、高級な黒毛和牛なんかはプロが牛を育てながら水分量をコントロールしていたり、うま味が多いから。
そのため、塩をしすぎてしまうと、必要以上に水分が出てしまうのでジューシーさが落ちたり、水分と一緒にうま味成分が流れ出てしまうことにもなるのです。
一方で、一般にスーパーで売られているお肉は安価ですが、水分量は多くうま味も少ないものが多いです。
だから、塩をしっかりと浸透させ、ある程度水分を出し臭みを取った方が美味しくなる!というわけです。
特に鶏肉は淡白な味なので、しっかりと塩を浸透させることが美味しくする秘訣。
プロのシェフでも「塩水に漬けてひと晩冷蔵庫に置く」という方が多いそうなんで、是非やってみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ポイントをまとめると、3つ。
- 加熱するかなり前に塩をする!
- 油と一緒に塩を入れない!
- 高級肉は食べる直前に塩をする!
塩のタイミングなんて普段意識したことがないって方も多いかもしれませんが、これを知っておくと安いお肉も高いお肉もベストな状態で食べることができますね。
もっと塩とお肉について知りたい方はこちらもどうぞ。
参考文献
- 雑誌『#肉部』エイ出版社編集部
- 『フランス式おいしい肉の教科書』Arthur le Caisne