先日ご紹介した『Modernist Cuisine』という本で、マッシュポテトのレシピがありました。
調理法を詳しくみてみると、意外にもじゃがいもはかな~り奥が深いよう。
低温調理も役立つとかで、これはちょっと面白そう。
ということで、今回はレシピではなく「低温調理でつくる究極に美味しいマッシュポテト」について調べたことを分りやす〜くまとめてみました。
目次
クリーミーでなめらかなマッシュポテトをつくるには、粘質のじゃがいも
マッシュポテトというと、なめらかでクリーミーなものを想像される方が多いと思います。
自由が丘にあるポテサラ専門店【クリーミーポテト】が一時期話題になりましたが、
この本でモダニスト・キュイジーヌチームはそういったなめらかでクリーミーなマッシュポテトのレシピを紹介してくれています。
まず迷うのがジャガイモの品種ですが、
なめらかなマッシュポテトには、メークインのようなねっとり系のじゃがいもが最適。
逆に、伝統的なふわふわ食感にしたい場合は、男爵のような粉質のじゃがいもが適するよう。
よく、マッシュポテトやポテトサラダなんかは男爵が最適と言われるので
「男爵一択!」という方も多いと思いますが
じゃがいもの品種はつくりたい食感によって選べば良いようです。
では、なぜなめらか食感には粘質系のじゃがいもの方がよいのか?
これは、次の話にもつながります。
最大のポイントはでんぷんが出ないようにすること!
マッシュポテトでなめらかな食感を出すには、とにかく粘りが出ないように気をつけなくてはなりません。
というのも、粘りがでると口の中でねちゃねちゃして歯の裏にくっついたりと悲惨なことになるからです。
では、どうしたら粘りが出なくなるか?
そう!答えは簡単!
粘り気を出すでんぷんが出ないようにすればいいのです。
でんぷんとは、よくじゃがいもを包丁で切ると出てくるあの白い液体です。
あれをアクだと思っている方は多いのですが、実は遊離でんぷんと言われるやつで、細胞が壊れると中から流れ出てきます。
これで、先ほど男爵よりメークインの方がなめらかになるといった理由が分かったでしょうか?
つまり、男爵はでんぷんが多いので、なめらかな食感を出すにはあまり向いていないのです。
とはいえ、メークインでも普通に茹でてマッシュすればでんぷんは流出し放題です。
そんな状態でかき混ぜればかき混ぜるほど粘りが出てしまうわけです。
フードプロセッサーなんて使えば、もはやねばねばの極み。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか?
ざっくりいうとポイントは3つ。
- 本茹での前に72℃で20分調理し冷やす
- 80℃強でマッシュする
- 裏ごしをする
では、ここから詳しく説明します〜。
低温調理すれば粘りが出ない??
ここでついについに登場するのが低温調理。
世界一予約のとれない料理店「エル・ブリ」のシェフ、ヘストン・ブルメンタールとフードライターのジェフリー・スティンガーテンによると、
ゆでる前に72℃で20分ほど低温調理することででんぷん粒を安定させるのだそう。
どういうこっちゃ?って感じですよね。
簡単に説明すると、72℃でジャガイモのでんぷんは水を吸ってふくらみます(糊化)。
その後いったん冷やすことで、でんぷんの分子が互いに結びついて、この後しっかり茹でても水や牛乳の中で溶け出さなくなるんです(逆行)。
つまり、本茹での前に72℃で茹でて冷やすことで、粘つきをおさえるというわけです。
ただ、マッシュするときは冷めてしまう前、できれば80℃強でマッシュしましょう。
冷めると細胞壁であるペクチンがコンクリートのように固まってしまうので、その状態でつぶすと細胞が壊れてしまいます。
せっかくここまで細胞を壊さないようにしてきたのにー!ってなっちゃいます。
ジョエル・ロブションによると、裏ごしをすればさらになめらかなマッシュポテトに。
細胞ひとつひとつが壊れずにバラバラになってくれるので、口に入れたときにすーっと溶けるような食感になるわけですね。
じゃがいもの皮はむいて2.5cmほどにカット!
ちなみに、ここからは余談ですが
じゃがいもをゆでる際どのくらいの厚みにするか迷う方も多いのでは?
風味や栄養素の面からいうと、皮ごと茹でるという方もおられますが、
それでは火の通りが一定になりません。
かといって、薄くスライスしすぎると風味や栄養素がなくなります。
ってことで、この本でモダニスト・キュイジーヌチームは2.5cmほどにカットするのを推奨しています。
もっと皮の風味を楽しみたいという方は、皮を生クリームや牛乳に入れて香りを移すと良いそう。入れて、いったん沸騰させたら火を止め蓋をして、30分ほど置いておきます。
面倒な方は、生クリームや牛乳を温めるときに一緒に入れて10〜20分ほど弱火で煮るだけでも十分そうですね。
まとめ
長々書きましたが、いかがでしたでしょうか?
その後の研究では反対意見も出ているようで
これが絶対ベスト!とは言いきれません。
でも、じゃがいもって奥が深いんだな~と興味を持ってもらえると幸いです。
とりあえず、これをふまえて作ってみよう!ってことで
レシピをあげる予定でしたが
マッシャーがなくて、つぶす前にポテトが冷えたり
バターをやわらかくしすぎて分離したりと大失敗!(笑)
うまくいったらまたご報告しますね。
ではでは~
参考にした本はこちら。
Modernist Cuisine at Home 現代料理のすべて