「これは健康によいから食べるべき!」とか「これは体に良くないから食べない方がいい!」とか、何となく考えながら食べるものを選んでいる方は多いと思います。
でも、知らず知らずのうちに周りに影響を受けて、体に良くないものを選んだり、食べすぎちゃったりもするよ~という行動経済学に関する研究が面白かったのでメモ。
肥満は伝染する?!
『実践・行動経済学』の本に書かれたものですが、これによると『肥満は伝染する』んだとか。
というのも基本的に、人は他人から非難されたくないという欲求があって無意識のうちに他人の行動や言動に左右されています。
有名なものだと、お笑い番組なんかで入っている笑い声の音声でつられて笑ってしまうのなんかがそうですね。
周りがスカートを短くしていると自分も同じようにしてみたり
隣の人があくびをすると自分もあくびが出たり・・・
そんな感じで肥満も意図せず周りに影響を受けているわけです。
太りやすい条件をざっくりまとめると以下のとおり。
- 太った友人と一緒に食べる
- 大人数で一緒に食べる
- 太った店員さんが注文をうける
- 男性の場合は、女性と一緒に食べる
実家に帰って大人数になると食べ過ぎてしまったり・・・
中華料理店で太った店員さんをみると、食欲がわいたり・・・
太った友人が注文したパスタやパフェが美味しそうにみえたり・・・
確かに考えてみると、心当たりが多いような(笑)
では、具体的にどんな研究があるのでしょうか。
人数に関する研究と、太った友人に関する研究の2つをご紹介します。
大人数で食事すると無意識に食べ過ぎてしまう!
まず、食べる人数によって食べる量がどれだけ変わるか?という研究。
これは2006年コーネル大学のワンシンク氏のものなんですが、
1人で食事をするときと比べて
- 食事相手が1人いるとき:約35%増
- 4人のとき:約75%増
- 7人以上のとき:約96%増
といった感じで、人数が増えれば増えるほど食べる量が増える!という結果になったそう。
1人での食事は不摂生になるので、逆に太りそうな気もしますが
確かに飲み会だとかパーティーなど大人数のときは普段の2倍くらい食べているような気がします。
太った友人と食事すると自分も太るかも
次に、「一緒に食べる人の体格に影響される」という研究もご紹介します。
これは『実践・行動経済学』の内容ではありませんが、同じく2014年コーネル大学ワンシンク氏らの研究(1)で学術誌「Appetite」に掲載されたもの。
大学生82人を4回に分け、サラダとパスタを食べてもらいました。
4回のランチではスタイルの良い女優さんが同席しましたが、それぞれ違った行動をとってもらいました。
- 1回目:サラダを多めに食べてもらう
- 2回目:パスタを多めに食べてもらう
- 3回目:実際より22kg太った人に変装して、サラダを多めに食べてもらう
- 4回目:実際より22kg太った人に変装して、パスタを多めに食べてもらう
結果は驚くべき内容でした。
太った人と一緒に食べると、その人の量に関係なく、学生のパスタ摂取量が31.6%増加。
そして、学生のサラダの摂取量が43.5%減少しました。
2007年にハーバード大学の元教授であるニコラス・クリスタキス氏がある人が太るとその周囲の人が太る可能性は増加すると発表しているので、このパスタの研究も十分ありえそうな話です。
ただ、その研究では太る可能性は配偶者だと37%、兄弟姉妹40%、友人57%増加したと発表しているので、もしかするとゆるいつながりからの影響ほど受けやすいのかもしれません。
まとめ
もちろん夫婦でも体形が全く違っていたり、1人の食事で逆に不摂生になったりすることもあるので、どこまで本当かどうかというのは分かりません。
が、私たちは自分を思うようにコントロールできていると思い込んで、無意識に周囲の影響を受けています。
ついつい流されてしまったり誘惑に負けないためにも
ダイエット中の方は
- 飲み会やパーティーなどは月に何回までと決める
- 太った友人と食事をする場合は、注文しすぎに注意する
- 配偶者にダイエット中だと宣言し協力してもらう
など、工夫が必要かもしれませんね。
このように、実は心理学や行動経済学にもダイエットや健康維持のヒントがたくさんあります。
この参考した本は訳本なので、具体例がアメリカのことだったりとちょいと小難しいですが、行動経済学の本の中ではまだ読みやすい方かもしれません。
周りに振り回されずに自分で選択をするためにどうすべきか。
面白いので、興味のある方は是非読んでみてください。