有名な心理実験としてよく本に出てくるマシュマロテストがまさかの間違っていたかもしれないという衝撃すぎる記事が出ていたのでメモ。
ネタ元は、前紹介した『飲むと寿命が縮む薬・サプリ』本を書かれたパレオな男というブログを運営されている鈴木祐さんの記事です。
この方、趣味で若い頃から最新の論文や研究を読みあさっていたというすごい方。
まだ本に載っていないような信頼度の高い研究ばかりを紹介してくれるので、いつも勉強させてもらっているのですが、今回はまさかの2018年5月25日に掲載された論文、と本当に最近すぎる!
マシュマロテストとは?
そもそもマシュマロテストが何かというと、1960年代にスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルが行った実験。
内容はというと、
- 4歳児にマシュマロやクッキーなどを見せ、1つ選んでもらう
- 「おじさんが戻るまで食べるのを待てたら、もう一つあげるね」と伝え、部屋を出る
- 15分間子どもが様子を見る
というもの。
普通に考えたら「今ある1個」より「後でもらえる2個」の方がお得ですよね。
子どもたちも、我慢しておじさんが帰ってくるのを待つべきだと分かっているわけです。
でも結果どうだったかというと、多くの子どもたちが「早く食べたい!」という欲求に負け、平均で3分しか待てませんでした。
なんと、15分我慢できた子どもはたったの30%だったそう。
問題なのが、その後10年にわたり行われた追跡調査。
その調査では、子どもの頃にマシュマロやクッキーを我慢できた子はできなかった子よりも
- ドラッグや喫煙などの不良行動をとる確率が低い
- 修学年数が長い
- 社会的地位が高い
ってことが分かりました。
つまり、「子どものころに誘惑に強ければ、将来成功するぞ!」という話で、
逆に言えば「自制心が人生をも左右するかも」という結果が出たわけです…。
確かに、自制心強い方が将来不良になったりせずに良い仕事を得られそうだな…とかは思いますよね。
でも、子どもの頃にマシュマロを我慢できなかったら、ドラッグとかにはまっちゃいやすいの?と思うと非常に恐ろしい話。
こんな衝撃な研究結果だったもんで、「マシュマロテスト」はものすごく有名な研究になりました。
が、まさかの・・・!それが、つい最近にくつがえっちゃったんです。
我慢できたからといって将来成功するとは限らない
鈴木さんの記事によると、これはニューヨーク大学とカルフォルニア大学の共同研究によるもの(1)。
内容はまぁほとんどマシュマロテストとほとんど同じ。
一つ違うのは、子どもたちに「7分我慢できたらもう1個あげる」と伝えたこと。元のマシュマロテストでは、実験担当者がいつ戻ってくるか分からないようにしていました。
その結果どうなったかというと、
- 我慢できた子は、成長してから学校の成績が良かった
というところまで前のマシュマロテストと一緒だったのですが、
両親の教育レベルと経済状況を入れると
- 金持ちで学歴の高い両親の元に育った子どもほど、我慢できた
という結果が出ました。
つまり、今回の研究によって「マシュマロテストの追跡調査の結果は家庭環境が影響してただけじゃない?」ってことになりました。
「目の前のマシュマロを我慢できた子は成功する!」というのは相関があっただけで、という話だったんですね。
なんだかあっけない・・・。
鈴木さんは
確かに、行動経済学の研究でも「貧しい状況では認知機能が下がる」なんて結果が出てまして、環境がヒトの能力に影響をあたえているのは間違いなさげ。結局、環境が大事なんじゃないの?って考え方には一理あるんじゃないか
と述べられています。
マシュマロテストから本当に学ぶべきだったこととは?
「我慢できた子は成功する」というのは、確かにこじつけみたいなところがありますね。
でも、この実験が意味ないかというとそんなことはありません。
この実験から本当に学ぶべきは、
誘惑を避けるための戦略を立てるのが大事だよーということなのです。
シーナ・アイエンガーさんの『選択の科学』でも述べられていますが
マシュマロテストで我慢できた子どもたちは、お菓子のお皿を見えないようにしたり、おもちゃで遊んでいることを想像したり・・・といった方法で誘惑を避けていたそう。
その後の研究でも、待ち時間の間におもちゃを与えたり、楽しいことを想像するよう指示したりすると、我慢できた時間は最大60%にも延びたんだとか。
これらのことからも分かるように、
私たちは自分の目標に、どんな誘惑がありそうか予想し、どれくらい厳しく、どんな方法で戦うかを知っておくことが本当に大切なのです。
例えば、
- ダイエット中であれば、マクドナルドやミスドなどの入っていないスーパーに行く
- ついつい携帯にさわってしまう人は、携帯を玄関に置いたり通知を切る
- 受験生なら、勉強以外のことができないようにカフェや図書館に行く
といったことができますよね。
どうやら、そういった戦略をたくさん知っておくほど、誘惑に強くなるみたいです。
〜まとめ〜
鈴木さんの記事には、本当衝撃でした。
でも、実際自分は誘惑に弱い方なので、ほっとした部分もあります。
「良い家庭で育った子は成功するかも」という結果にショックを受けた方もおられるかもしれませんが、逆に子どもの頃、貧しくて成功した人もたくさんいます。
大切なのは、誘惑を避ける戦略です。
自分がどんな誘惑に負けやすいのかを想定し、どうすればうまくいくか戦略を考える。
これを繰り返していけば、「マシュマロを我慢できなくても」強く生きられるはずです。